OMEGA: Speedmaster Professional (ref.145.0022)

OMEGA|Speedmaster Professional ref.145.0022

鳥取県K.C.様ご依頼品

オメガのスピードマスターの修理ご依頼です。お車の洗車時に水が大量にかかったらしく、結露により風防の内側がくもってしまいました。しばらく放置してもくもりが取れないため、ドライヤーで加熱したところ、風防がポンっと取れてしまったということです。やってしまいましたねー。


オメガ・スピードマスター プロフェッショナル

分解前の測定です。歩度はやや進み気味です。波形もなんとなくフラフラしており、ムーブメントの動作が安定していない印象です。熱でいかれてしまったのでしょうか。

 

風防は取れてしまってスカスカの状態です。オメガ純正の防水プラスチック風防ですが、取れた際にインナーリングを紛失してしまったらしく、このままでは継続使用できないため、新しい純正風防を取り寄せて交換します。

 

ケース本体を分解したところ。幸いクロノグラフプッシャーには異常は認められず。しかし、リュウズのガスケットが老朽化していることに加えて、ドライヤーの熱で一部が溶け(?)黒いベトベトした汚れがパイプに付着しております。このため、リュウズは新しいものに交換することに。

 

文字盤と針も異常な熱により塗料の一部が変質・変色してしまっているため、風防とリュウズに加えて、針セット一式も取り寄せに。これら三点のパーツ費用だけで¥80,000(時価)という非常にイタイ出費となりました。スピードマスターのヴィンテージモデル用のパーツは、とても人気があり入手困難のため、価格がプレミアム化しています。

 

ムーブメント本体の分解をしたところ。cal.861 はアポロ計画で月へ行くためにあらゆるハードなテストをクリアしております。熱によるテストもあったと思いますが、それが幸いしてかムーブメントのパーツには損傷などはみられませんでした。

 

パーツの洗浄が完了し、パーツケースに収めたところ。

 

地板の輪列あたりを拡大したようす。洗浄前は4番車の穴石(2つ並んだ左側)には油が穴のまわりに残っていますが、ガンギ車の穴石(右側)の油は乾いてしまっており、油カスだけがみられます。洗浄してピカピカにして組み立てます。

 

地板に香箱、2〜4番車を組んだところ。熱により軽い油は飛んでしまったようですが、油による変色や蒸着はとくに見られず。ちなみにムーブメント内部に水入りした状態でドライヤーなどで無理に加熱すると、猛烈にサビが生じます。絶対に行ってはいけません。

 

ベースムーブメントの完成したところ。

 

ベースムーブメントの歩度測定。振り角もしっかり300°近く出ており、波形のおかしなフラつきも消えました。新しい油を差しなおして動きが滑らかになり、動作が安定したものと思われます。

 

クロノグラフモジュールまで組み上げたところ。

 

文字盤を取り付けて、剣付けをします。新しい針セットをパッケージから取り出したところ。

 

新しい針はそのまま使えるわけではありません。袴の内側をリーマーで削り、最適な高さにしっかりと差せるように調整します。

 

新しい針セットがついたところ。

 

針を真横からみたようす。クロノグラフ秒針はもう少し下まで押し込めそうですが、今後を考え余裕をみました。分解掃除のたびに外して、また取り付けて、を繰り返しますから、長い年月のうちにはだんだんとゆるくなります。そうすれば奥へ(下へ)と取り付け位置が変化していくでしょう。

 

分解前と交換後の針のようす。さすがに夜光の部分などがまっさらです。文字盤は軽いブラッシングのみですが、目地は気持ちばかりですが少し整った感じがします。

 

つづいて新しい風防を交換します。中央が新しいものです。右端の古いものと見比べてインナーリングの有無がよくわかると思います。たったこれだけの違いですが、リングがないときっちり風防をはめ込むことができません。

 

グラスプッシャーにより風防、つづいてベゼルと嵌め込みます。

 

さいごにムーブメントをケーシングして完成です。

 

最終特性 クロノグラフON (T0)

左上)文字盤上 振り角 270° ビートエラー0.1ms +003 sec/day

右上)文字盤下 振り角 274° ビートエラー0.2ms +005 sec/day

左下1) 3時下 振り角 250° ビートエラー0.0ms +000 sec/day

左下2)12時下 振り角 256° ビートエラー0.4ms +004 sec/day

右下3) 3時上 振り角 247° ビートエラー0.3ms +008 sec/day

右下4)12時上 振り角 238° ビートエラー0.3ms +010 sec/day

 

クロノグラフON  24時間後 (T24)

テストマシーンによる24時間後の実測値は平均 +7秒 でした。まずまず使いやすいところに落ち着いたと思います。

 

【Omega Speedmaster Professional (145.0022)】
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□オーバーホール料金 クロノグラフ ¥ 30,000
□追加パーツ費用
 ・オメガ純正プラ風防(063PW5139) ¥ 25,000
 ・オメガ純正リュウズ(43069SP)  ¥ 20,000
 ・オメガ純正針セット一式    ¥ 35,000
 ・バネ棒(クラスプ)      ¥ 1,000
□その他
 ・研磨サービス 洗浄のみ    ¥ 無料
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合計金額             ¥ 111,000

 

 

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