今日の時計『ラドー・マンハッタン』

RADO|Manhattan
RADO|Manhattan

東京都Y.H.様ご依頼品

ラドーのマンハッタンのオーバーホールとフルポリッシュのご依頼です。いかにも70年代というデザインで、近年の製品には見られない何とも言えない独特の雰囲気を醸し出しています。ケースの形も変わっていますが、構造はさらに変わっていて、やりごたえ満点です。ケースのサビがひどく、開けるのも一苦労でした。


オーバーホール事例:ラドー・“マンハッタン”(東京都Y.H.様ご依頼品)

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70年代製ラドーのマンハッタンのオーバーホールとフルポリッシュのご依頼です。ヤフオクで入手されたとのこと。さっそく分解前の測定をします。全体的に日差約1分の進みとなっていますが、大きな姿勢差がないためオーバーホールのみで直りそうです。

 

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上はケースからムーブメントを出した直後です。ケースはサビだらけで風防にまでこびりついています。下はサビを落として洗浄が完了したところです。裏蓋にムーブメントを入れて、上から風防を重ねてベゼルつきケース本体でサンドイッチする構造です。

 

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ケースのフルポリッシュが完了したところです。深い打ち傷やサビが浸食した部分は跡が残っています。風防も深い傷やヒビは取りきれず残りましたが、かなりキレイになりました。風防は特殊な構造のため汎用品に交換用パーツはありません。やむを得ず継続利用しますが、ヒビがあるため防水性は全く期待できません。

 

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ムーブメントの分解と洗浄ができたところです。外装はボロボロでしたが、ムーブメントは幸いパーツにあまりひどい摩耗も見られず、交換すべきパーツは見当たりません。

 

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ゼンマイの入る香箱のフタが、反りがでているため修正します。バレルコントローラーという道具(自作)を使ってフタをまっすぐにしている様子です。

 

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写真上は光を反射させると、穴の回りだけ窪んでいるために周りと光の反射角が異なっている(=曲がっている)ことがわかります。下はバレルコントローラーで修正後です。おかしな反射が消えて、平らになっていることがわかります。

 

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香箱のゼンマイも洗浄して注油をし直します。

 

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こちらはテンプのひげぜんまいを修正しているところです。今回はあまり修正せずに済みました。

 

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続いてムーブメント本体の組み立てにうつります。輪列と巻き上げ機構から組み立てます。

 

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アンクルとテンプまで組んで、ベースムーブメントが完成したところです。

 

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ベースムーブメントの測定

左上)文字盤上 振り角 202° ビートエラー0.1ms +010 sec/day

右上)文字盤下 振り角 209° ビートエラー0.0ms +005 sec/day

左下) 3時下  振り角 189° ビートエラー0.2ms +010 sec/day

右下)12時下  振り角 188° ビートエラー0.3ms +007 sec/day

主要4姿勢でΔ5秒とよい結果です。このまま進みます。

 

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自動巻きブロックの組み立てと組み込み。そして回転錐まで取り付けたところです。

 

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カレンダー機構も組み込んでいきます。早送り機構がデイ・デイト共に元々ついておりませんので、リュウズを引き時刻合わせの状態で24時間針を進めることによってしか日付を送ることができません。しかもリュウズはジョイント式ですから、針合わせは巻芯を小型ピンバイスで挟んで行います。動作の確認がしにくく、時計師泣かせの構造です。

 

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剣付けを終えてケース(裏蓋)に組み込んだところ。リュウズはここでようやく組み込めます。風防をかぶせて、あとは最後にケース本体をはめ込んで完成です。

 

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最終特性

左上)文字盤上 振り角 251° ビートエラー0.0ms +007 sec/day

右上)文字盤下 振り角 259° ビートエラー0.0ms +003 sec/day

左下1) 3時下 振り角 245° ビートエラー0.2ms +009 sec/day

左下2)12時下 振り角 241° ビートエラー0.0ms +006 sec/day

右下3) 3時上 振り角 230° ビートエラー0.0ms +001 sec/day

右下4)12時上 振り角 221° ビートエラー0.0ms +004 sec/day

振り角が少し弱めですが、全姿勢差Δ8秒は年式の割に良い結果だと思います。

 

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研磨前(左)研磨後(右)

 

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研磨前(左)研磨後(右)

 

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完成

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