今日の時計『ロレックス・デイトジャスト』

ROLEX|Date Just Ref.1601
ROLEX|Date Just
Ref.1601

茨城県A.H.様ご依頼品

ロレックスのデイトジャストref.1601(cal.1560)のオーバーホールと風防交換/フルポリッシュのご依頼をいただきました。なぜかアンティーク品のご依頼が多めのアトリエ・ドゥなのですが、決して工房主はベテランの熟練時計師ではなく、今回の時計も私がまだ生まれる前に製造された半世紀以上も昔の時計です。日々が覚えることだらけで、まだまだです。ご依頼主様も5年程前に中古で今回の時計を入手されたようで、、、アンティーク時計は世代を超えて根強いファンがいるようです。その魅力はどこにあるのでしょう。機械の内側から探ります。


オーバーホール事例;ロレックス  “デイトジャスト”(茨城県A.H.様ご依頼品)ref1601-01

ロレックス・デイトジャストref.1601のオーバーホールと風防交換・フルポリッシングのご依頼です。ケースには少しサビが見られ、年代を感じさせます。風防もプラスチックのドーム型で独特の雰囲気があります。汎用品でref.1601用のプラ風防がありますので取り寄せました。

 

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分解前の測定です。姿勢差(Δ)が+21秒から−12秒までΔ33秒あります。少し開いてきていますが、振りは縦も200°ありしっかりしてますので、なんとかしたいところです。

 

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パーツの分解と洗浄が完了しました。だいぶ年季の入った感じで、使い込まれた様子です。

 

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香箱の洗浄前(左)と洗浄&注油後(右)香箱真のまわりにわずかにメッキが残っていますが、残りの部分は擦り減って地金が露出してしまっています。

 

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cal.1560 のひげぜんまいは、鉄ヒゲです。磁気に弱いため、保管する場所には注意が必要です。中心が少しズレていたので修正しました。(左)水平具合はわずかに傘型になっており、中心から外に向かうに連れて下がっています。鉄ヒゲはあまり無理すると折れやすいため、深入りせずほどほどの所にしておきます。

 

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ムーブメント本体の組み立てです。輪列に歯車をのせて、受けを組みます。(写真上)丸穴車や角穴車をつけ、ザラ回しで動きを確認して、(写真左下)アンクルとテンプまで組み上がりました。(写真右下)

 

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ベースムーブメントの測定です。

左上)文字盤上 振り角 260° ビートエラー0.0ms +012 sec/day

右上)文字盤下 振り角 264° ビートエラー0.0ms +005 sec/day

左下)  3時下  振り角 229° ビートエラー0.1ms +005 sec/day

右下)12時下  振り角 229° ビートエラー0.0ms +015 sec/day

姿勢差はΔ10秒に回復しました。振りも十分です。

 

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ベースがOKなので、カレンダー機構を組みます。瞬間送り機構の動作をチェックしつつ、文字盤と剣付けまで完了しました。

 

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ケーシングして、自動巻きブロックまで取り付け完了したところです。cal.1560は5振動(毎時18,000振動)のロービートムーブメントですが、テンプは大きく安定しており、歴代のロレックスのムーブメントの中でも傑作のひとつと言われております。同じref.1601でも、5.5振動(毎時19,800振動)のcal.1670とはこの点が異なりますが、基本的な設計思想や構造はほぼ同じです。

 

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最終特性

左上)文字盤上 振り角 265° ビートエラー0.0ms +010 sec/day

右上)文字盤下 振り角 267° ビートエラー0.1ms +005 sec/day

左下1)  3時下 振り角 233° ビートエラー0.0ms +005 sec/day

左下2)12時下 振り角 225° ビートエラー0.0ms +009 sec/day

右下3) 3時上 振り角 222° ビートエラー0.3ms +001 sec/day

右下4)12時上 振り角 225° ビートエラー0.3ms +003 sec/day

まずまずの結果と言えそうです。欲を言えば平姿勢と縦姿勢の差がもう少し小さければ完璧でしょう。年式の割には良い方だと思います。5振動ですから元々摩耗が起きにくい上に、丈夫で素材の品質も高いため、製造から半世紀を経ても実用的な動作が可能です。

 

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before & after

研磨前(上)研磨後(下)

 

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完成

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