今日の時計『セイコーKSハイビート5621-7000』

SEIKO|Automatic KS Hi-Beat
SEIKO|Automatic KS Hi-Beat

東京都M.M.様ご依頼品

セイコーKSハイビートのオーバーホールとフルポリッシュのご依頼です。

こういう形状のケースはバフ研磨には向いております。全体的に丸みがあり、エッジの効いた面や角がほとんどありません。少し深く削ってもシェイプが崩れにくく目立たないため、かなり大きな打ち傷や凹みもなんとか取りきってしまうことができます。ご参考までに詳細をぜひ下記リンクよりご覧下さい。


セイコー・オートマチック(5621−7000)

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セイコーのオートマチックKSハイビートのオーバーホールとフルポリッシュのご依頼です。外装ケースはご覧の通り、全体的にかなりのキズなどが見られます。

 

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ケースからムーブメントを外したところ。ワンピース構造で裏蓋はケース一体型のため、風防を外さないとムーブメントは取り出せず、内部も分かりません。どうやら浸水など防水不良によるサビは見られない模様。

 

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ムーブメント分解前の測定です。まるでサービス後のような特性ですが、内部の注油は耐震装置をはじめほとんど乾いていましたので、分解掃除が必要です。まれにこういう個体も存在します。測定だけでは『まだ大丈夫だろう』と誤った判断をしてしまいがちです。そのまま使い続ければパーツはダメになってしまいます。時計の本当の状態はタイムグラファーだけでは判断できません。

 

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パーツを分解して洗浄が完了したところ。過去にほとんどオーバーホールを行った様子がなく、おかしな痛みやキズも見られませんでした。下手な時計師にいじらせると、あちこちデタラメな事をしでかして、不具合だらけということが本当に多いです。

 

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香箱のゼンマイも洗浄して巻き直し、注油をしました。

 

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ムーブメントの組み立てです。カレンダーがなく、巻き上げ機構はシンプルです。

 

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続いてこちらは輪列側です。3/4受けのため、歯車などは全部のせておいてから一気に受けを組み込みます。

 

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輪列受けを組んで、さらにテンプまで取り付け完了したところ。

 

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自動巻きローターを仮組みして動作をチェックします。

 

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ベースムーブメントの測定

左上)文字盤上 振り角 242° ビートエラー0.0ms +010 sec/day

右上)文字盤下 振り角 251° ビートエラー0.0ms +011 sec/day

左下) 3時下  振り角 227° ビートエラー0.2ms +008 sec/day

右下)12時下  振り角 216° ビートエラー0.3ms +010 sec/day

元々の状態が良かったため、一見すると性能は特に差がみられません。振り角が全体的に約10°と小幅ながら改善したといえばしたという程度。しかし、きちんと洗浄と再注油を行いましたので、この先使ったときに断然差が出ます。長く使えば使う程に違いが出ます。何もせず使い続ければ見るも無惨な性能に落ちて、そうなってからオーバーホールをしても二度と元には戻りません。メンテナンスを定期的に行えば、劣化を最小限に抑えて何十年でも実用に耐えます。

 

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文字盤と剣付けをして、ケースに収めたところ。針は表面がボツボツ気味ながら、下手に触れると表面のメッキやら塗装が剥がれて余計見苦しくなります。こういう場合は何もせずそっとそのまま付け直すだけでやっとです。

 

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グラスプッシャーで風防とベゼルを取り付けます。

 

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ケースはフルポリッシュを行ってピカピカです。

 

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最終特性

左上)文字盤上 振り角 232° ビートエラー0.0ms +010 sec/day

右上)文字盤下 振り角 236° ビートエラー0.1ms +011 sec/day

左下1) 3時下 振り角 215° ビートエラー0.1ms +010 sec/day

左下2)12時下 振り角 205° ビートエラー0.1ms +009 sec/day

右下3) 3時上 振り角 209° ビートエラー0.0ms +008 sec/day

右下4)12時上 振り角 211° ビートエラー0.0ms +003 sec/day

12時上のみ他の姿勢に対して少し遅れ気味ながら、全姿勢が0〜+10秒に入っており、十分な特性と思います。

 

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研磨前(上)研磨後(下)

 

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かんの部分の打ち傷も消えました。

 

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その他の小傷もフルポリッシュですっかりきれいに。

 

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表面のサテン仕上げが樽型のケースにすっきりと決まっています。

 

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完成

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