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アトリエ・ドゥはこんな店です

アトリエ・ドゥ外観


これが当工房のようすです。ハッキリ言って家です。どう見ても店には見えません。周りもご覧の通り住宅街です。道路なんかウチの前でスッパリ途切れる袋小路にございます。駐車場などというものはございません。どうせそのうちGoogleあたりに勝手に撮影されて公開されるでしょうから、別段隠すつもりもありません。しかし、住所の所在地をマップなどで調べるとさらによく分かりますが、まるで迷路のような古い住宅街の奥地にこの番地は位置しており、初めて訪ねてくる人は100%道を間違えて迷うほど交通の便の悪いところです。そのせいでというのではありませんが、当工房では直接のご来場はお断り申し上げております。つい最近もそういうお問い合わせがありましたが、ご近所のオバちゃんですら直接持ち込みは全て断っているほど徹底しております。間違っても訪ねてこないでくださいね。

どうしてこんなことになっているのか。これは私のデザインしたライフスタイルであり、仕事のやり方なのです。私事ながら私は40歳すぎまして独身です。おそらくこのまま生涯未婚だろうと思います。少し寂しいような気もするし、田舎の風潮では独身でいると「あの人は何か(人間として!)問題があるのではないか」などと陰口を叩かれます。独り身でいることを、どこか後ろめたいような気持ちにさせてくるのです。遅れていますよねー。東京で通算17年、上海にも2年半過ごした私にとっては、カビの生えたように感じる古い価値観です。それがまかり通っているような地域です。私は彼らの古い社会と価値観を理解して合わせることが可能ですが、逆は不可という状況です。「あら?まだ結婚はしないの〜?」などと、まるでそうすることが当たり前であるかのように、顔見知りのご近所さんに話しかけられます。適当に話あわせなきゃいけないので、それがとても面倒臭いです。苦笑

少し突っ込んだ話になりますが、結論から言うと日本はもう手遅れです。日本の現状は『衰退途上国』などと評され、一部の識者の間ではもうすでにそんな風に認識されています。人口ピラミッドのいびつな歪みにより、超少子高齢化社会となることが、全ての元凶となります。介護や医療など必要とするお年寄り、次世代を担う子どもたちを育てる教育など福祉サービス。それらの財源を現役世代から徴収する税金と国の国債など財政赤字ではもはや支え切れなくなり、経済は混乱しどんどん縮小を余儀なくされることが各種公的統計からも明らかに予測されております。国民生活もジリ貧に追い込まれるでしょう。にもかかわらず今の今まで有効な手立ては何一つ実施されておりません。政府は移民政策を俎上にのせ始めました。若年世代の労働力不足を補おうという発想ですが、過去に同じような苦難を乗り切ろうと移民政策に舵をとったフランスなどがその後どういうことになったかを見れば、悲惨な将来は火を見るより明らかです。犯罪は増して治安は悪化し、人種対立は顕在化し、水と安全だけはタダなどという神話のまかり通った時代は完全に過去のものとなるでしょう。ましてやつい昨日までチョンマゲで鎖国政策をとっていたような我が国の国民に、大陸の枢軸国家の歴史を持つフランス人ほどの国際性が備わっているはずもなく、移民など行えばより悲惨な結末をも覚悟しなければなりません。大多数の日本人はこの危機的状況を知らず、知っても話題にもしませんね。事なかれ主義でその場限りの雰囲気にこだわり、和をみだすことを極端に忌避する国民性により、私たちは茹でガエルのようにじわじわと凋落の谷底へと追いやられるでしょう。もう誰にも止められないところまで来てしまいました。

まずは独身でいることの理由の半分はこれで説明がつきます。見通しは明るくはありません。しかし、私自身はそれほど悲観的に未来を考えておりません。私には私にしかできないことがある。そう見つけたのが時計修理という仕事でした。私はゼネラリストよりプロフェッショナルであることのほうが性分に合っており、企業人として組織の一員になりきるにはどうにも収まりの悪いアクのようなものを持っています。昔風にいえば職人気質ということでしょうか。私がこうだと思った道は絶対に譲りたくないのです。上司のような人がいて管理されたり、指示されて動くような仕事は、(誤解を恐れず言うと)私にとってそれは仕事ではありません。何か将棋の持ち駒のようにアゴで使われていると感じてしまいます。まさに自分と自分の時間を提供する代わりの対価として給料という形の報酬を得ている、といちいち意識せずにおかないほど、私にとってそんな生活パターンはあり得ない出来事なのです。サラリーマン時代を送っていた20代の若かりし頃は、そんな気持ちでいっぱいで毎日が嫌で嫌でたまらなかった。

なにも我慢なんかしていることはないんだ。嫌ならやめちまえばいい。その代わり、己の身のふりようは、一身の責任においてこれを全うすべし。そう心に決めて、この道を選んだわけです。なにもそんな大層なことじゃないんですよ。気楽に若隠居みたいな感じで。寝たいときは昼でも寝る。食いたいときに好きなものを食べる。こんな風に書くとたちまち「不規則で生活習慣病で早死にだ」なんて余計な心配を私の母でもないのにしてくる人がいる。心配ご無用!一見乱れているようで、これが案外調子が良いのです。自分の心と身体の内側から聞こえてくる声に耳をすませば、自ずと自分なりの生活パターンができてきます。8時に出社、12時にお昼、5時に終業(でも残業あるお約束)帰って寝るのは真夜中。、、、こんな生活のいったいどこが健康的なのか??私はちがいます。まあ夏は昼まで寝ておりますね。朝食が12時です。それから部屋の掃除だの洗濯や買い物など昭和でいえば主婦業みたいなことを昼間のうちにやって、日が沈む少し前にお昼を済ませます。国道沿いまで出れば外食産業は栄えていますので、ラーメン屋、定食屋、蕎麦屋、洋風レストラン、なんでもあります。コンビニもあるし、ドラッグストアやホームセンターみたいなものも揃っており生活には困らない。嫁はいらないんです。全部自分で出来てしまうか、それを補完してくれるサービスが豊富にある。19時に日の暮れた頃に「どれ仕事でもするか」と道具を机の上に並べはじめる。(でも気が向かなかったらPCでも開いて別の仕事をしたり、たまには晩御飯も自分で料理して作る。これがまた楽しく気分転換になる♪)それで気が済むまで仕事したら適当に風呂に入って軽い夜食とあとは自由時間。、、、規則的でしょう??(爆)じゅうぶん健康ですよ。風邪ひとつひかない。

そういう訳ですから、ふらりと客に訪ねて来られても困るわけです。来るのは配達業者さんだけでよい。ハンコ押すだけで5秒でやりとり終わります。時短です。余計な接客にかける費用も人員もありません。電話対応しないのもそういうことです。今夜のおかず買いにスーパー行っているときに、いきなり呼び出されて「50年前のドコソコのアンティーク時計なんですが、、、」とか始まっても困るわけです。「大根にでもしとけ」と言ってしまうでしょう。公私混同になってしまう。好き勝手な生活を送っているようでいて、実は仕事モードはきっちり生活と分けております。ただ、仕事と生活それらを全て一人でやろうとしたら結果としてこうなった、みたいなところが実情です。もっともらしく聞こえよく言えば、宅配業者が来られてネットのつながる場所なら、全国どこでも即営業可能なビジネスモデルである、というのが強みです。無借金経営かつ開業資金ゼロでも立ち上げ可能です。(道具を揃える必要はありますが修行時代に大半は集めておいた)ほかに必要なのは確かな己の腕ひとつ。最初はどうなることかと思っていたものの、案ずるより産むが易しで、なんだやってみたら出来ちゃった。なんでもっと早く脱サラしなかったのか今では逆に悔しいくらい。小さなスタートのつもりでも、後からみたらそれが大きな一歩へとつながることがあります。最初から変に大成功を夢見たり、身の丈に合わない商売をしようなどとは思わなかったことが、私にとって幸いしました。自分にできることを可能な範囲でやる。あとはノウハウでもお金でもついてくる。

これが私の暮らしぶりであり、おそらくこういったロールモデルが増えていって、お一人様文化みたいなものも醸成されていくのだと思います。世の中の趨勢とは裏腹に、内実は充足しており、私はなにより自分の向いていることを仕事にして、それで人様のために多少のお役にでも立てて、それで生活していければそれでじゅうぶん満足であり、幸福なのです。

ebayなどで修理のためのパーツなどを物色していると、気がつくことがあります。古いアンティーク時計やら、部分的なムーブメントだけだったり、パーツだったり、いろいろあるわけですが、とある年代のものに限って出品している人や業者の国籍をみてみると、それに符合するかのように、、、『ある国』が異様に目立っていることがあります。1950年代よりも以前の古い時計たちです。日本でいえば明治〜戦前です。どこだかお分かりになりますか?これまでの話の脈略から『アルゼンチンだろう』と答えたアナタはかなりの事情通とお見受けします。そうなんです。アルゼンチン。20世紀初頭頃まではGDPで上位に入る世界屈指の先進国の一員だった。それがその後ハイパーインフレを繰り返して没落の一途をたどり、デフォルトするまで凋落していったのは周知の事実です。そして、これと似たような状況が1970年代〜1990年代頃に製造されたアンティーク時計においても見ることができます。世界の時計ファンに愛されてきたようなプレミアム価格で出品される時計を、これ以上値段が下げられないギリギリの安値で次から次へと出品している国がたったひとつある。悲しいかな、それらの出品の国籍は『JAPAN』であります。(バブルでしこたま輸入された高級品なんだろうなーと、、。)

 

 

追伸:このところ宣伝もとっくに打ち切って広告もどこにも出していないのに、ありがたいことに修理のお申し込みがコンスタントに来続けており、このような調子で仕事が早いほうではないものですから、たまりにたまって新規のお申し込みが納期3ヶ月の見込みを超えてしまいました。解消に向けまして鋭意、仕事に取り組んでおりますが、どうか当面の間はお待たせしますことをお許しください。日本はおろか、世界のどこにもない独自サービス(のつもり)でやっております。今後ともどうぞ当工房アトリエ・ドゥをよろしくお願い申し上げます。

 

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