OMEGA: “Constellation” cal.561

オーバーホール事例:  オメガ “コンステレーション”(兵庫県K.T.様ご依頼品)

omega561-1

オメガのコンステレーションが止まり、オーバーホールとライトポリッシュのご依頼です。リュウズを回そうとしても動かず、裏蓋を開けたところ機留めネジが外れて、角穴駆動車のアミダと受けの隙間にはさまっておりました。この車は赤い矢印の方向にしか回転せず、無理に逆回転させると壊れます。この状態でリュウズを力まかせに回したとすれば、、、恐ろしいですね。なんでも動かないものを無理に動かすと、後々高くつきます。とくに時計は。

 

omega561-2

自動巻ブロックを外して、受けを分解し、ようやくはさまったネジを取り除くことができました。こういう絶妙な部分に得てしてはさまるもので、少しでも対応を間違うと歯車やらホゾやらボキボキ折れて大損害となるところでした。幸い破損箇所は見られず、交換の必要になるパーツはありませんでした。

 

omega561-3

分解前に歩度の測定を行ないます。文字盤上で−11秒、文字盤下では+11秒なので、裏平差(Δ)は 22秒です。この時計はクロノメーター級の精度のはずで、裏平差はΔ10秒でも大きすぎる位です。それがΔ22秒とは、、。これは何か問題があると見てよいです。縦姿勢も−10秒と遅れています。

 

omega561-4

分解前のテンプ(左)を見ると、これはもう明らかに傾いてしまっていて、ひげぜんまいがフラットではありません。ひげの水平度は平姿勢に影響します。先のΔ22秒の裏平差の原因はひげぜんまいの傾きによるものです。ネジが取れて、歯車にはさまって止まるまでの間に、あちこち内部を転げ回って悪さをしたのでしょうか?(前回のメンテナンスを担当した時計師が、これほどの傾きを見逃したとしたら職を辞めるべきです)ともかく、ひげぜんまいは分解洗浄後に修正しました。(右)

 

omega561-5

全てのパーツの分解と洗浄を行なったところです。前回オーバーホールは7年前とのことですが、それにしてはちょっと摩耗しすぎているパーツが見られました。結構高額な修理代金だったとのこと。いったい、どこに費用が消えたのか聞いてみたい位です。あまりよい修理がされているとは思えませんでした。

 

omega561-6

香箱も分解前は注油が乾ききっています。7年位では香箱まで油が乾ききることはありませんから、前回は香箱に注油もせず、蓋すら開けなかった可能性が高いです。きちんと洗浄したうえで、注油も施しました。

 

omega561-7

ベースムーブメント本体を組み立てます。針回し機構と輪列から組んでいき、(写真上)香箱受けとアンクル/テンプまで順番に組んでいきます。(写真下)

 

omega561-8

ベースムーブメントの測定です。

左上)文字盤上 振り角 245° ビートエラー0.0ms +012 sec/day

右上)文字盤下 振り角 242° ビートエラー0.0ms +012 sec/day

左下) 3時下  振り角 213° ビートエラー0.2ms +011 sec/day

右下)12時下  振り角 216° ビートエラー0.0ms +014 sec/day

裏平差はΔ22秒からゼロへ解消いたしました。縦の2姿勢を含めても、主要4姿勢でΔはわずかに3秒です。これがクロノメーター級の本来の性能です。

 

omega561-9

ベースムーブメントの具合よろしく、気分も晴れやかにカレンダー組み立てと剣付けへ進みます。針の曲げ具合も良くなかったので、微妙に修正してあります。時針/分針/秒針は、どの時刻で重なっても文字盤からの高さが同じ間隔になるようにします。(修正前の針の角度では問題ありでした。ダメな所で修理しますと、このように全てがイマイチな調整をされてしまいます。)

 

omega561-10

ケーシングまで進んだところです。何処に出しても恥ずかしくないように修理する。今日もよい仕事ができました。

 

omega561-11

最終特性

左上)文字盤上 振り角 246° ビートエラー0.0ms +008 sec/day

右上)文字盤下 振り角 245° ビートエラー0.0ms +008 sec/day

左下1) 3時下 振り角 235° ビートエラー0.2ms +008 sec/day

左下2)12時下 振り角 220° ビートエラー0.1ms +008 sec/day

右下3) 3時上 振り角 219° ビートエラー0.2ms +001 sec/day

右下4)12時上 振り角 218° ビートエラー0.2ms +002 sec/day

全姿勢差(Δ)7秒 さすが名機 cal.56x です。ちゃんと調整すれば調整しただけ、それに応えてくれます。

 

omega561-12

完成

今回のサービス料金:オーバーホール(自動巻き) ¥20,000

 

 

トップへ戻る