ROLEX: Date Just ref.16234

オーバーホール事例;ロレックス  “デイトジャスト”(神奈川県H.I.様ご依頼品)16234-01

ロレックスのデイトジャストの針が動かなくなったとのことで、オーバーホールとライトポリッシュのご依頼をいただきました。ゼンマイが切れていたため、まず最初に香箱だけを取り出して新しいゼンマイに交換しました。

 

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香箱を元に戻して分解前の歩度測定をしたところ、姿勢差(Δ)が13秒ありビートエラーもまちまちの状況。振り角も最大213°とあまり元気がありません。ゼンマイだけを新しくしても、ダメだということが分かります。

 

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テンプのひげぜんまいが、ずいぶん中心がずれています。ここまでハッキリ分かる程ずれていることは珍しいです。(写真上)いつものようにピンセットでエイヤッと曲げまして、あっさり数分で直ってしまいました。(写真下)いとも簡単そうに書いてますが、この技術を訓練しはじめた頃などは1日かかっても下のようにはなりませんでした。適当にやっているわけではありません。下手なところをいじればいじるほど、泥沼化して元の形から遠ざかっていきます。ひげぜんまいはそういうものです。

 

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全ての部品を分解して、洗浄が完了したところです。cal.3135 は毎時28,800振動のハイビートムーブメントですが、2015年にロレックスが新型ムーブメント32xx系を発表するまで、約30年近くに渡って同社製品の中核を占め続けてきた主役のムーブメントです。これといった大きな欠点もなく安定した特性を誇り、信頼性が高いものです。デイトジャストを始め、人気のサブマリナーなどスポーツモデルにもこのcal.3135(もしくはcal.31xx)が搭載されています。

 

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洗浄後のパーツは、ホコリやゴミが混入しないように、伏せ瓶でしっかりガードします。写真のようにしておき、この間に食事をとったり別の用事をこなしたりするわけです。習慣とは恐ろしいもので、ほとんど意識せずにパーツを並べていっても、いつもピッタリかぶせることが出来てしまいます。我ながら不気味なスキルです、、。(カップ麺の容器を見ただけで、必要量きっかりの水を汲んで沸かすという特技もあり、、苦笑)

 

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ムーブメント本体の組み立てです。センターと巻き上げ機構から組み、(写真左上)輪列に香箱と歯車をのせていき、(写真右上)受けを組んだあと、(写真左下)コハゼ・角穴・丸穴まで組めたら、ザラ回しをします。(写真右下)歯車の回転に問題がなく、アンクルとテンプまで組んだらベースは出来上がりです。

 

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ベースムーブメントのみで歩度の測定をします。

左上)文字盤上 振り角 236° ビートエラー0.0ms +005 sec/day

右上)文字盤下 振り角 247° ビートエラー0.0ms +001 sec/day

左下)  3時下  振り角 222° ビートエラー0.2ms +002 sec/day

右下)12時下  振り角 214° ビートエラー0.1ms +006 sec/day

テンプのひげぜんまい以外はどこも調整を変えていませんが、洗って組み直せばこのように「ああ、いつものロレックスね」と言える特性が出てきました。まったく良く出来た機械だといつも感心させられます。

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カレンダー機構の組み立てをします。瞬間送り機構を組み付けて、(写真上)カレンダーディスクまで組みました。(写真左下)動き具合をチェックして、最後に文字盤と針付けまで進んだところです。(写真右下)

 

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いよいよケーシングまで進み、自動巻ブロックとローターまで組み上げました。過去にほとんど手が入れられた形跡がなく、全体的にキレイな状態のムーブメントでした。

 

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最終特性

左上)文字盤上 振り角 241° ビートエラー0.2ms +005 sec/day

右上)文字盤下 振り角 243° ビートエラー0.2ms +003 sec/day

左下1) 3時下 振り角 230° ビートエラー0.0ms +001 sec/day

左下2)12時下 振り角 221° ビートエラー0.0ms +003 sec/day

右下3)3時上 振り角 215° ビートエラー0.4ms +002 sec/day

右下4)12時上 振り角 224° ビートエラー0.2ms -001 sec/day

若干振り角が低めではあるものの、本機はcal.3135登場まもない頃(X番1991年製)のものであり、ゼンマイが切れるまで使い続けられたことで、各部のパーツは一見キレイに見えても摩耗が進んでいるものと思われます。どれか一つのパーツを交換すれば改善するといった性質のものではないため、歩度などその他の特性が実用的であれば良しとします。(数日間のランニングテストで、実測では日差+1秒と「少し合い過ぎるかな?」と思いましたが、振り角を除けば通常のcal.3135と同じ特性が出ているため、今回はこのままとします)

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研磨コースは『ライト・ポリッシング』です。元のヘアラインがしっかりしていたため、鏡面部分のツヤだしのみのライトでも、かなり見栄えは良くなります。

 

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完成

今回のサービス料金:オーバーホール(自動巻き) ¥20,000

交換パーツ費用:ゼンマイ ¥5,000

ライトポリッシュ:¥1,000

合計:¥26,000

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