ROLEX: Explorer I Ref.114270 (cal.3130)

オーバーホール事例:ロレックス・エクスプローラー1(東京都A.Y.様)

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ロレックスのエクスプローラー1のオーバーホールのご依頼をいただきました。Cal.3130搭載のもので、比較的新しいモデルです。綺麗にお使いになっており、外装研磨サービスはライトポリッシュで十分リフレッシュできそうです。

 

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分解前の測定です。ロレックスの現行品にしては全体的に少し進み気味で、+10秒前後ですが、主要4姿勢での姿勢差はΔ5秒と優秀です。ビートエラーも若干出ていますが、オーバーホールのみで修正可能と思われます。お使いになっていて、購入時より最近すこし進むようになった(または遅れるようになった)と感じ始めた頃がメンテナンスの時期です。理想的なタイミングでのご依頼です。

 

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ムーブメントを分解していきます。分解したパーツはベンジンカップの中に入れて、ひとつひとつ丁寧に刷毛で洗います。ネジ1本に至るまで全てピカピカに洗います。洗いあがったパーツは伏せ瓶の中でホコリなどの汚れからガードします。

 

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香箱の中のゼンマイも注油が乾いて汚れていますので、取り出して洗浄したうえで巻き直し、新しいグリスオイルを注油します。

 

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ムーブメントの組み立て前に、テンプだけを地板に組んで調整を行います。テンプのひげぜんまいが等間隔のカーブを描いているか(中心出し)と、天真の軸に対して直角に水平方向へと広がっているか(水平出し)の、両方を同時に満たすようにする必要があります。幸い今回はいずれも乱れがなく、洗浄のみで合格です。状態が良くなければ修正しますが、問題がなければ極力余計なことはしないほうが良いです。

 

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洗浄が終わったパーツをならべたところ。ネジの頭にはドライバーの舐め跡などがなく、パーツにも傷などが全くどこにも見当たらないため、オーバーホールは1回目かも知れません。綺麗なパーツは美しいものですが、少し緊張します。次のオーバーホールでも、まだ1回目だと思わせるように組み立てたいものです。あ、どこかで分解したな、とすぐ分かるような仕事は褒められません。

 

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テンプ調整後にいったんテンプは外して、ベースムーブメントの組み立てです。裏回りの巻き上げ機構から組んでいきます。

 

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続いて表輪列に移ります。香箱や輪列の2番車から4番車とガンギ車を乗せた所です。ガンギ車の上下には耐震装置がついていますので、あらかじめ先に注油を施しておきます。

 

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輪列受けと香箱の一受け、丸穴車の受けなどを組みます。角穴車をつけたところでリュウズを回してみて、歯車が正しくきれいに回転することを確認し、各歯車のホゾに注油をします。その後、脱進器(アンクル)を取り付けたところです。

 

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アンクルとガンギ車のかみ合い量などをチェックし、注油を行ったあとにテンプを組み込みます。これでベースムーブメントの完成です。

 

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ベースムーブメントの測定

左上)文字盤上 振り角 278° ビートエラー0.0ms +005 sec/day

右上)文字盤下 振り角 273° ビートエラー0.0ms +005 sec/day

左下) 3時下  振り角 244° ビートエラー0.1ms +001 sec/day

右下)12時下  振り角 245° ビートエラー0.0ms +005 sec/day

振り角は分解前とほぼ同じですが、歩度は0〜5秒/日とΔ5秒以内に収まっており、見込み通りの好結果です。ビートエラーも再調整によりほぼ0.0ms近辺で解消されました。

 

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エクスプローラー1にはカレンダーはないため、カレンダーに関わるパーツは省略されています。代わりにペルラージュの美しい板で裏回り機構全体を保護しています。下段は文字盤と針を装着したところです。針は秒針/分針/時針の間隔が等しく、真っすぐになるようにします。

 

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ムーブメントをケースに取り付けします。さらに自動巻きブロックと回転錐を取り付けして、ケーシング完了です。ゼンマイが一杯に巻かれていても、回転錐が滑らかにスムーズに回ることなど、自動巻きブロックの機能もチェックする箇所等がいくつかありますが、無事に全ての機能が正しく動作することを確認しました。

 

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最終特性

左上)文字盤上 振り角 278° ビートエラー0.1ms +004 sec/day

右上)文字盤下 振り角 280° ビートエラー0.0ms +005 sec/day

左下1) 3時下 振り角 252° ビートエラー0.0ms +002 sec/day

左下2)12時下 振り角 243° ビートエラー0.0ms +004 sec/day

右下3) 3時上 振り角 250° ビートエラー0.2ms +003 sec/day

右下4)12時上 振り角 239° ビートエラー0.1ms +000 sec/day

最小0秒/日〜最大5秒/日の全姿勢差Δ5秒という、ほぼ新品同様の素晴らしい性能に回復しました。ロレックスは定期メンテナンスを実施することで、今後何十年にも渡って大きく性能が衰えることなく、いつもゴキゲンな状態でご使用いただくことが可能な良い時計です。

 

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研磨前(左)と研磨後(右)です。もともと綺麗にお使いになっており、写真では少し差がわかりにくいですが、ベゼル鏡面部分の細かい拭き傷程度はライトポリッシュで落ちて、ツヤがしっかりと出ております。

 

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こちらはケース本体側面とブレスレットコマの側面の鏡面仕上げの様子です。大きな傷や深い傷がなく、ごく浅くて細かい線キズ程度であれば、ご覧のようにライトポリッシュでピカピカになります。

 

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完成

今回のサービス料金:オーバーホール(自動巻き) ¥20,000

外装研磨サービス:ライトポリッシング  ¥1,000

合計:¥21,000

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