ROLEX: Oyster Date ref.6494 (cal.1210)

オーバーホール事例;ロレックス  “オイスター・デイト”(東京都Y.S.様ご依頼品)oysterdate1210-1

60年代製のオイスター・デイトのゼンマイが切れたとのことで、修理のご依頼をいただきました。なお、ケース本体のみでのお預かりで、写真のベルトは撮影のため手持ち参考品を合わせています。

 

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香箱を開けたところです。油は程よく差されているものの、このように切れてしまうこともあります。

 

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交換パーツを探したところ、純正品が入手できました。古いパーツは ebay などのオークションが頼りです。そもそも日ロレでさえ修理を断りそうな古い時計ですから、パーツが入手できるかどうかは運次第です。今回のパーツ代は実費¥5,000 ですが、時価となるため今後も同じ価格とは限らない点にご注意ください。

 

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パッケージを開封して、新しいゼンマイを取り出します。ちなみに当工房で『ROLEX純正品』と称す場合は、1.未開封のパッケージ品であり、2.工房主の経験に照らして本物だと確信できるもの、に限定しておりますが、ROLEXと当工房は一切関係がなく、当工房の独自の判断においての呼称であることをご理解ください。

 

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ゼンマイの巻きの向きに注意しつつ、香箱の上にのせて、飛び出さないように注意しながら香箱内へと押し出します。

 

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香箱にゼンマイを入れた後、注油を五点差しで施しました。この注油方法はWOSTEPの技術トレーニングで習得した方法です。私はWOSTEPのcertificateを看板に商売するなら、香箱に限らず全て基本的にはWOSTEPの流儀で修理をするのが当然という考えですので、教えを忠実に守って作業をしています。

 

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香箱をいったん本体に組み戻して、分解する前に特性をみておきます。主要な4姿勢において、−10秒〜+10秒まで、姿勢差(Δ)は約20秒というところです。振りもしっかりしていますので、あまり内部の調整で手を加える必要はなさそうです。ホゾにも油がまだ残っていました。

 

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ムーブメント本体を分解中です。テンプなどは写真のようにバランスごと受けから外して、振れ見をします。内端中心のズレと、水平のブレが見られたため、修正しました。

 

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分解したパーツが全て綺麗に洗浄できました。パーツには所々に劣化やサビが見られましたが、なんとか交換は免れた(というより、探しても見つからない)ような状態です。古い物は騙し騙し使うしかないこともあります。

 

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組み立ては最初にテンプだけを地板に組んで、あらゆる角度から見やすいようにしておいて調整してしまいます。分解前(写真左)は、ひげぜんまいが緩急針にキチンと収まっておらず、ヒゲ棒から下半分がはみ出してしまっています。洗浄後(写真右)では、正しくヒゲ棒の間にひげぜんまいが収まるように修正しました。ひげぜんまいの水平具合も、よく見ると修正前は外端側が下方向にだれてしまって傘型になっているのがわかります。

 

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ムーブメント本体の組み立ての様子です。輪列と巻き上げ機構から組み、(写真上)香箱受けやアンクル、テンプまで組み上げて、ベースムーブメントの完成です。(写真下)

 

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ケーシングして、最終測定をします。ガンギ車は今回のパーツの中でもっとも状態が良くありませんでしたが、部分的に出ていたサビなどを落として、なんとか継続使用できるギリギリの所です。

 

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最終特性

左上)文字盤上 振り角 273° ビートエラー0.2ms +009 sec/day

右上)文字盤下 振り角 269° ビートエラー0.7ms +012 sec/day

左下1)  3時下 振り角 205° ビートエラー0.1ms +005 sec/day

左下2)12時下 振り角 213° ビートエラー0.3ms +022 sec/day

右下3) 3時上 振り角 205° ビートエラー1.1ms +006 sec/day

右下4)12時上 振り角 214° ビートエラー0.8ms +008 sec/day

パーツの状態が全体的に思わしくないため、あばれ気味です。特に何かが問題というわけではなく、調整できるところは全てチェック済みです。かなり使い込まれてパーツの摩耗も進んできておりますので、年代相応の特性と思います。

 

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外装研磨サービスはライトポリッシュです。前回のメンテナンスでケースの研磨を行なったようで、外装には大きな傷がなく拭き傷程度だったため、ライトにもかかわらず、まるでフルポリッシュの仕上げ並みに輝いています。研磨前(左)研磨後(右)

 

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完成

今回のサービス料金:オーバーホール(手巻き) ¥15,000

追加パーツ実費:ROLEX純正ゼンマイ ¥5,000

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