ROLEX – Air King ref.14000

ROLEX | Air King ref.14000

ロレックスのエア・キングのオーバーホールご依頼です。記念すべき当工房の『ブログ掲載オプション』の第1号となります。


ロレックス エア・キング

裏蓋を開けた内部ムーブメントのようす。ref.14000 から採用されたcal.3000が搭載されております。80年代ごろに製造されたものと思われます。


分解前の歩度測定を行います。振り角は平姿勢で270°出ておりますが、歩度は全姿勢とも−10秒ほどの遅れとなっています。時計を普段ご使用していて、歩度が遅れてくるようになったら、オーバーホールの時期がきたサインです。


ムーブメントを分解して、パーツを洗浄します。内部の油はすっかり乾いておりました。これから組み立てて新しい油をさします。


これはゼンマイを巻いて香箱にセットするための工具で、バレル(メインスプリング)・ワインダーといいます。色々なサイズがあり、時計の香箱とゼンマイの大きさに合わせて選んで使用します。


ゼンマイを巻きとっていくようす。


巻き取ったゼンマイを香箱の中へと押し出してセットします。新しいグリス・オイルをいれたところ。


パーツケースに取り外した文字盤と針を入れて保護します。組み立て作業の都合に合わせて、洗浄したムーブメントパーツなども一緒に入れる場合もあります。


洗浄したムーブメントのパーツをならべたところ。今回はこのまま組み立て作業を行うので、作業マットの上にならべます。


作業机の全体のようす。マット上のパーツも伏せ瓶で保護します。時計は精密機械であり、すこしのホコリやチリのようなものでも混入すると不具合の原因となるため、清潔な作業環境となるように注意を払っております。机の上では飲食など厳禁であることはもちろん、ティッシュペーパーの使用も禁止です。(これがいちばん繊維くずが飛びます)

作業に不必要なものもいっさい置かず、作業が終わったら机の上の道具などは引き出しに片付けます。


それではムーブメントを組み立てていきましょう。まず最初に地板にバランスを組んで、ひげぜんまいの調整を行います。アルキメデス・スパイラルと呼ばれる渦を正しく整えます。バランスは調速機構ともいい、時計の振り角はバランスの回転角度のことで、歩度はまさにこのバランスの運動するタイミングそのものです。時計にとって最も重要なパーツといえます。


つづいて、輪列の歯車群を組み立てていきます。香箱と2番〜4番車、ガンギ車をのせたところ。


輪列の受けを組んで、さらに香箱の上の角穴車、それを巻き上げるための丸穴車や中間輪列などを組んでいきます。過去にほとんど整備された痕がなく、ネジの頭なども痛みがみられずキレイな状態です。何度分解と組み立てを繰り返しても、このような状態を保てることが良いオーバーホール作業だと思います。


バランスまで取り付けを行って、ベースムーブメントの組みあがったところ。


自動巻ブロックも取り付けして、ローターの回転具合や動作のチェックを行います。


組みあがったムーブメントの歩度測定をします。振り角は分解前とあまり変わりませんが、歩度は各姿勢とも日差0秒〜5秒以内に入っております。これでまた新しい油が古くなって乾いてくるまで時計をお使いになれます。毎日使用する場合で約3年、まったくお使いにならない場合でも5年ほどで内部の油は乾いてしまうので、特に歩度などに変化がなく順調に動作しているようであっても、目安となる期間が経過したときにオーバーホールを行っていただくのが良いです。


ムーブメントに文字盤と針をつけたら、いよいよケーシングです。外装ケースとブレスレットは内部ムーブメントとは別個に洗浄と研磨の作業を行います。


これは防水試験機です。アトリエ・ドゥでは防水性能の保証は行っておりませんが、分解や研磨を行ったケースの防水をチェックする場合があります。


5気圧(50m相当)でケースを水没させていますが、内部より気泡などは上がってきませんので、5気圧防水として合格です。


ケーシングまで来ました。この後、オートワインダーによる歩度の実測チェックを1週間〜2週間ほど行って、一連のオーバーホール作業は完了となります。