サービス事例集

このページでは、実際にアトリエ・ドゥにおいてメンテナンスや修理を行った時計のサービス事例の中から、それぞれのコースによく見られるパターンのものを集めました。

【 オーバーホールコース 】


【 すべておまかせコース 】


これらのリストアップされた時計とその修理記事をご覧になれば、その時計のブランドや種類には関係がなく、【オーバーホールコース】の料金がすべて一律料金であることがお分かりになるでしょう。

本来、ホーバーホールの作業とは時計を分解して洗浄し、注油しながら再び組み上げる一連の工程のことです。手巻きや自動巻、複雑時計であるクロノグラフでは若干の違いはあるにせよ、オーバーホールを行うためには一つの時計で半日から1日の時間がかかります。必ずしも構造が簡単である手巻き時計のほうが早く作業できるとも限らず、また同じクロノグラフであっても構造の違いによってかかる手間暇には差があります。当工房でもオープンした当初は、手巻き/自動巻/クロノグラフ といった種類の違いにより細かく料金設定をわけていたこともありました。

ところが、実際の作業においては単純なオーバーホール作業のみではなく、細かな調整や修理を要するものが多く、パーツの交換の有無など運要素も含めた上でトータルで費用をみていくと、そうした時計の種類による料金設定が妥当だとは思えないようになりました。組み立てる時間そのものの差はわずかなもので、作業時間のほとんどはサビ取りであったり汚れの除去であったりします。時計の構造の複雑さの違いによる作業時間の差は、さほどあるわけでもないことに気がついたのです。

そのことに加えて、ブランドの別による価格の違いというものは、作業に関する手間賃という面から見ますとまったく合理的に説明することができないものです。ブランド直営店などはそれぞれの理由により相応の料金を決定しており、それは根拠があるのだろうと思います。しかし、どの系列にも属さない独立した運営主体である当工房においては、ブランドによる価格の別をつけなければならない何の理由もございません。これらのことにより、アトリエ・ドゥのオーバーホール料金は、どのブランドのどの種類の機械式時計であっても、料金は一律にてサービスをご提供しております。

1日の作業で済む案件ならば、1日分として同じ料金にしましょうという考えです。その中で最善を尽くして仕事をします。その意味においても個体による多少の作業時間の差や手間暇をあえて費用に換算する必要性は乏しく、むしろ私の1日分の仕事量の対価として決定しているものです。1日1本、今日の仕事として行うその時計だけに全力を注いでおります。私の持つ “技”だけで直せるものであるならば、どの時計にも惜しみなく投入します。

ところで、その時計の修理のためにパーツを交換すれば、その費用は現実に様々な値をとります。パーツ単品でオーバーホール基本料金さえをも上回るような高額パーツも中には存在します。そのようなものを採用するためには当然ながらパーツを入手するための別途費用が無視できなくなります。おまけとして【オーバーホールコース】の一律なサービス費用に含めてしまうことが難しい修理は、あらかじめ修理費用を概算するためのお見積もりが必要となります。

そのため、当工房ではこのような修理を【すべておまかせコース】にて対応をしております。どんなに有名で価格の高いブランドの時計であっても、定期整備されて中身の状態が良ければオーバーホールのみで受付いたします。逆に、たとえ中古の時計を安く手に入れたとしても整備履歴のわからないお品は、当工房でそれを本気で修理しようとすると、予想外の高額修理となるかも知れません。その時計を直すためにどれだけのコスト(作業日数、交換パーツ代金)が必要なのかの違いにより、【すべておまかせコース】では修理料金が異なっています。対象となる時計の状態次第なのです。


過去の“ブログ”(終了しました)