IWC – Gold Portofino

IWC | Portofino ref.2534

IWCのゴールド・ポートフィノのオーバーホールのご依頼です。めずらしいモデルのため、やや強引にお願いしてブログ掲載オプション採用とさせていただきました。


IWC ゴールド・ポートフィノ

分解前の測定から。振り角は平姿勢で270°まで出ているものの、歩度がマイナス30秒をこえています。94年に新品ご購入後、数える程しかお使いにならず、保管されていたとのこと。


内部ムーブメントはすっかり油が乾ききっていました。分解してパーツを洗浄していきます。


ムーブメントのパーツ洗浄が完了して並べたところ。傷んでいるパーツなどは見当たらず、オーバーホールのみにて進行可能な状態です。


地板にバランスを組んで調整をおこないます。キャリバーは『818/5』の刻印がみられます。じつはこのムーブメントは、ジャガー・ルクルトが作っているcal.818系と同じ設計のものです。IWCには例えば他にパイロット・ウォッチのmark XIにもJL製ムーブメントが採用されています。cal.818はIWCのほかにも、ヴァシュロン.Cなど他の高級スイス時計メーカーに数多く供給・採用された実績のある銘機です。


ひげぜんまいの調整ができたところ。中心・水平ともに問題なく理想的な状態になっています。


2番車を拡大したようす。カナやホゾの部分の鋼鉄がピカピカです。きれいなシェイプの保たれた状態がみてとれます。


輪列の歯車群を組み上げていきます。


歯車は細部まで丁寧に仕上げられています。状態もとても良いです。


これは香箱・輪列受けを裏返ししたところです。穴石はキレイに洗浄済みです。石の周囲に丁寧なペルラージュ仕上げがみられます。現在ではこういう所までスイスの伝統的な技法を使って仕上げられたパーツはほとんど見かけなくなりました。(よくて梨地か、削り出し面に直接メッキだけされたものがほとんど)丸穴車はこのように受けの内側に取り付ける設計です。


こちらは巻き上げ機構を組んだようす。この部分のパーツ群もやはり丁寧な仕上げです。


輪列に続いてアンクルまで組んだところ。受け上面にはコート・ド・ジュネーブ(さざなみ模様)が施されています。


アンクル受けのあたりを拡大したようす。アンクル受け上面にも放射状に模様が施されています。受けの角は面取りされています。


ガンギ車とアンクルのツメ石のかみ合い具合のチェックをします。さすがに良く調整してあり、修正が必要なところは見当たりませんでした。爪石にしっかりと注油を行って次に進みます。


バランスを組み込んでベースムーブメントの完成です。


文字盤と針の取り付けをしたところ。


ケーシングまで来ました。ケースは18金製ですが、35mm程度の伝統的なメンズのサイズで決して大きいものではありません。ムーブメントが小さいつくりのため、相対的にケースが大きく見えます。


最終特性 半巻き(T24)

左上)文字盤上 振り角 264° 歩度 +019 sec/day

右上)文字盤下 振り角 260° 歩度 +019 sec/day

左下1) 3時下 振り角 220° 歩度 +019 sec/day

左下2)12時下 振り角 224° 歩度 +017 sec/day

右下3) 3時上 振り角 220° 歩度 +012 sec/day

右下4)12時上 振り角 220° 歩度 +022 sec/day


最終特性 全巻き(T0)

左上)文字盤上 振り角 293° 歩度 +015 sec/day

右上)文字盤下 振り角 282° 歩度 +015 sec/day

左下1) 3時下 振り角 236° 歩度 +017 sec/day

左下2)12時下 振り角 248° 歩度 +007 sec/day

右下3) 3時上 振り角 247° 歩度 +017 sec/day

右下4)12時上 振り角 249° 歩度 +025 sec/day


完成。外装ケースは軽くツヤ出しの研磨を行いました。