
このページでは、実際にアトリエ・ドゥにおいてメンテナンスや修理を行った時計のサービス事例の中から、よく見られるパターンのものを集めました。
【 オーバーホールコース 】
まずは時計を身につけて使ってみてください
これらのリストアップされた時計とその修理記事は、【オーバーホールコース】のサービス事例です。本来、ホーバーホール(※)の作業とは時計を分解して洗浄し、注油しながら再び組み上げる一連の工程のことです。手巻きや自動巻、複雑時計であるクロノグラフでは若干の違いはあるにせよ、組み立てる時間そのものの差はわずかなもので、作業時間のほとんどはサビ取りであったり汚れの除去であったりします。時計の構造の複雑さの違いによる作業時間の差は、さほどあるわけでもないのです。
そのことに加えて、ブランドの別による価格の違いというものは、作業に関する手間賃という面から見ますとまったく合理的に説明することができないものです。ブランド直営店などはそれぞれの理由により相応の料金を決定しており、それは根拠があるのだろうと思います。しかし、どの系列にも属さない独立した運営主体である当工房においては、ブランドによる価格の別をつけなければならない理由はありません。これらのことにより、アトリエ・ドゥのオーバーホール料金は、どのブランドのどの種類の機械式時計であっても、料金は一律にてサービスをご提供しております。
ところで、その時計の修理のためにパーツを交換すれば、その費用は現実に様々な値をとります。パーツ単品でオーバーホール基本料金さえをも上回るような高額パーツも中には存在します。なるべくならオーバーホールのみで済ませたいし、余計な出費はさけたいところです。では、どういう時計ならばオーバーホールのみで済むでしょうか。これまで数々のご依頼をこなしてきてわかったことは、おおむね次のとおりです。
【オーバーホールのみで済んだ例】
日差が30秒以内で安定して動作する
5年に1度程度以上の定期メンテナンスを行っている
10年以上メンテナンスはしていないがただしこの間まったく時計は使用していなかった
実際に毎日身につけて使っているものである
これに対し、パーツ交換を余儀なくされたパターンは次のとおりです。
【パーツ交換が必要だった例】
日差が30秒以上あり、止まったり不安定であったりする
過去定期メンテナンスを行っていない、または実施されたかどうかわからない
10年以上メンテナンスはしていないが時計を使うことがあった
身につけて使っているものではなく静置またはワインディングマシーンで管理している
過去の修理パターンは例外もありますが、おおむね体感で90%は上記いずれかのパターンに一致していたという印象です。機械式時計はとにかく油切れに弱いのです。内部の注油が乾いてしまって、動作の接点に汚れやカスがたまった状態で時計を動かす。これが機械にとってもっとも最悪で、どんどん痛めてしまう主因といってよいです。パーツ交換が必要になるのはそういう使い方をされてしまった個体が圧倒的に多いです。まれに機械の設計がよく、動作環境など複数の要因が重なって、まったく手入れをせず油もささずに奇跡的に動き続けてしまう個体もあるのですが、それは本当にまれな事象です。そういうレア・ケースを逆手にとり「メンテ不要論」をまことしやかに唱える方がいたりしますが、それはちょうど「宝くじに当たれば億万長者になれるのだから、汗水たらして働くなんて馬鹿げている」と言っているのと同じです。バカげているのはそういう人の頭のほうです。
それはともかく、パーツ交換が必要な時計をオーバーホールする場合には、オーバーホール費用にパーツ代を別途加算することに同意いただくことになります。
このように、アトリエ・ドゥは普段お使いの機械式時計を定期メンテナンスするために向いております。故障してしまったものや、整備歴のわからない中古品などは、オーバーホールのみでは直らないことがあり、パーツ交換が必要なものはあまり得意ではありません。正規サービスセンターのようにブランドと契約を結んでいないため、パーツは一般市場から時価で調達することになり割高となります。ブランドやパーツによってはそもそも取り寄せできない場合もあります。当工房ご利用の際には以上のことをご理解いただき、時計の状態に応じたご選択をしていただければ幸いです。
(※)『オーバーホール』とは言い換えればメンテナンス作業のことです。修理と混同されがちですが、例えばパーツ交換は必ずしもオーバーホール作業には含まれません。パーツ交換やパーツの補修作業などが必要なものを『修理』と呼びます。当工房ではオーバーホール費用と修理費用は【オーバーホール】+【別途パーツ代】という形で明確に分けております。
